幕末の歌舞伎が演出・串田和美と脚本・宮藤官九郎で「コクーン歌舞伎」によみがえった。勘九郎、獅童、七之助ら若手俳優がトランペットの音楽で立廻りをするラストは圧巻。
古典歌舞伎の名作に現代的な演出をほどこして、世に送り出してきたコクーン歌舞伎。今回は中村勘九郎主演、宮藤官九郎脚本の“Wカンクロウ”による、斬新な舞台となった。「天日坊」は幕末以来、実に約150年ぶりの上演という河竹黙阿弥初期の作品。ある若者が奇妙な運命のもと五十三次を旅する物語。宮藤官九郎は自らのアイデンティティーを問う主人公を軸に再構成し、テンポのよい笑いと絶妙な掛け合いが満載の脚本としてよみがえらせた。そして、串田和美は現代と江戸が交錯する世界を美しくも悲哀を帯びた演出で描く。主人公に中村勘九郎、彼が旅の途上で出会う盗賊に中村獅童、中村七之助。トランペットの音色が主人公たちの決意と悲哀を鮮やかに引き立たせ、コクーン歌舞伎にひときわ鮮烈な風が吹く。
【あらすじ】
自らの生まれ素性も知らずに育った青年・法策(中村勘九郎)は、ふとしたきっかけから、将軍源頼朝の落胤(らくいん=非嫡出子)になりすまし、鎌倉へ向かうことに。悪事を重ねつつ旅をするうちに、盗賊の地雷太郎(中村獅童)とその妻・お六(中村七之助)と出会う。やがて、思いもかけなかった自分の運命を知ることになった法策は、“天日坊”を名乗り、途方もない野望を胸に突き進んでいく。
収録日・収録場所
- 2012年7月4日/東京 Bunkamuraシアターコクーン
出演
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中村勘九郎
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中村七之助
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市村萬次郎
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片岡亀蔵
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坂東巳之助
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坂東新悟
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近藤公園
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真那胡敬二
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白井晃
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中村獅童
スタッフ
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脚本宮藤官九郎
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演出・美術串田和美