舞台での完全実現は不可能ともいわれる超大作オペラ「ニーベルングの指環」。ハイテクを駆使し、驚愕の演出を創造したR・ルパージュらの、4年間の挑戦に密着する。
北欧神話をモチーフに、ワーグナーが26年かけてつくり上げた4部作のオペラ「ニーベルングの指環」。虹を歩く神々、水中の人魚など、舞台化困難といわれる作品の新演出上演に、METが挑んだ。伝統を尊重しつつも、オペラには挑戦が必要と考えるピーター・ゲルブ総裁は、ロベール・ルパージュに演出を依頼する。ルパージュが着想したのは、多彩な映像を映し出しながら変幻自在に動く巨大な装置を使った舞台だった。2008年から制作が始まった装置は、数多くの試行錯誤を経てついに完成。2010年、新演出への期待の声、古いファンの批判的な声が飛び交う中「序夜<ラインの黄金>」が上演される。本番中の装置の停止、主演歌手の降板など、トラブルが続く中、ルパージュと、デボラ・ヴォイトら歌手たちは、舞台上に壮大な物語を描き出していく。2012年の最終章の上演まで、4年間にわたる空前のプロジェクトが生み出すものとは…。