映画

わが生涯のかがやける日

「安城家の舞踏会」「誘惑」に続いて監督・吉村公三郎＆脚本・新藤兼人がみたびコンビを組み、１組の男女の運命的な再会と愛憎劇をけれん味たっぷりに描いた秀作ドラマ。

日本の敗戦前夜、青年将校に大臣の父を暗殺された令嬢が、運命の変転により、戦後はキャバレーのダンサーへとすっかり転落。やがて彼女は、暗黒街の顔役の用心棒を務める若きギャングと出会い、恋に落ちるが、彼こそはほかならぬ父の仇だった…。そんなあまりにもドラマチックな物語を、吉村監督が思わず外国映画かと見まがう、けれん味たっぷりの演出で流麗に描写。戦時中の満映の神話的スター・李香蘭こと山口淑子と、森雅之がラスト近くで披露する情熱的なキスシーンは、公開されるや一躍大評判となった。