古典歌舞伎を独創的な演出で上演するコクーン歌舞伎。鶴屋南北の「盟三五大切」のBGMにクラシック管弦楽と邦楽を織り交ぜ、串田和美ならではの世界観を現出させる。
1998年に上演されて以来、再演が待たれていた四代目鶴屋南北作「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」。1825年に江戸の中村座で初演されたこの物語は、江戸歌舞伎らしい忠臣蔵の話を一本の線に人間の因果と皮肉な運命が絡み南北らしい「人間リアリズム」があふれる。その人間の業、決してきれいごとではない「リアル」に演出家の串田和美は深く惹かれ、また現代に通ずる普遍性を見いだす。舞台は、モネやターナーの絵画を彷彿とさせる印象派風の淡い光景が江戸、歌舞伎の世界と不思議に混ざり合う。BGMはクラシック管弦楽と長唄、三味線といった邦楽が共演。いまだかつてない「新しい歌舞伎」はまさに串田ワールドだ。
売れっ子芸者小万と夫の三五郎はある事情から大金が必要となり、仲間と共謀して小万に惚れ込んでいる浪人・薩摩源五兵衛から百両をだまし取る。裏切られた源五兵衛は三五郎の仲間五人を斬殺。三五郎夫妻は命からがら逃げ出して、復讐の影に怯えながら暮らしていたが、ついには見つけられ小万は源五兵衛の手にかかり無残に殺されてしまう。さらに三五郎が手に入れた百両は皮肉にも源五兵衛のもとへ…。
復讐の鬼と化し凄惨な殺しを繰り広げる源五兵衛の迫力には固唾(かたず)をのまざるを得ない。その源五兵衛を中村橋之助(現:芝翫)が、三五郎を中村勘太郎(現:勘九郎)、そして芸者小万を今回初参加の尾上菊之助が演じる。
演目
- 盟三五大切
収録日・収録場所
- 2011年6月21日/東京 Bunkamuraシアターコクーン
出演
役名 | 役者名 |
---|---|
薩摩源五兵衛、実は不破数右衛門 | 中村芝翫 |
芸者小万 | 尾上菊之助 |
船頭笹野屋三五郎 | 中村勘九郎 |
富森助右衛門 | 坂東彌十郎 |
出石宅兵衛 | 片岡亀蔵 |
徳右衛門同心了心 | 笹野高史 |
芸者菊野 | 坂東新悟 |
六七八右衛門 | 中村橋之助 |
スタッフ
-
演出・美術串田和美