ケチュア語で「へそ」を意味するクスコはインカ帝国の首都であり、政治・経済・文化の中心でした。しかし1532年、スペインのフランシスコ・ピサロの侵略で帝国は終焉。植民者はインカ人が積み上げた巨大な石壁の上に都市を建設しました。この石積みは石と石の間にカミソリ一枚通さないといわれる巧緻さで、インカ文明の高さを物語っています。
インカの美しく精巧な石積みとスペインのコロニアルな建築物が融合し、独特の雰囲気が漂うクスコ。クスコ大学付属博物館で当時世界最大の帝国を築いたインカの英知を垣間見た後、太陽の神殿(コリカンチャ)のあったサント・ドミンゴ修道院を訪れます。 |
ペルーレイルのビスタドーム号で、クスコのサンペドロ駅を出発。6回ものスイッチバックを繰り返し、列車は深い谷間を走ります。アグアス・カリエンテス駅から30分の登山を経て、空中都市と呼ばれるマチュピチュ遺跡に到着。密林の中からふいに現れる遺跡群は思わず息を飲みます。神殿、宮殿、居住区、人々の生活を賄った段々畑などが整然と広がり、周りには立派な城壁。ここが標高2280mもの頂上とはとても思えません。この都市は16世紀半ばに捨てられた後、400年以上も人目に触れることはなく、1911年にアメリカ人歴史学者ハイラム・ビンガムが発見したときには草木に覆われた廃虚となっていました。
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アンデス高原列車の旅は、クスコのワンチャク駅からスタート。ディーゼル列車はゆっくりと海抜3400~3800mの世界へ昇っていきます。展望車や食堂車から高原の雄大な景色を楽しんでいると、この路線の最高点、標高4319mのラ・ラヤに到着。列車には酸素ボンベが設置してありますが、高山病対策にはアンデスの人々が昔から使っているコカが有効なのだとか。
海抜4000mを越えるこの地域にも先住民が生活しています。手作りの民芸品を売っていた親子の家を訪ねると、子供たちがささやかな夢を語ってくれました。
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湖の西岸に位置する街、終点のプーノに到着。チチカカ湖は、汽船などが航行可能な世界最高所の湖であり、世界でも数少ない古代湖としても知られています。
この聖なる湖では、ウロ族の人々が湖上生活を営んでいます。トトラという植物で作った浮島で暮らし、漁や移動もトトラの船で。浮島は底の方から腐っていきますが、上からどんどん新しいトトラを敷き詰めて補強するのだそう。彼らにとっては、この湖こそが「母なる大地」。はるか昔から変わらないスタイルで、つつましくも豊かに暮らす人々を紹介します。
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