起伏が激しい街路をのんびりと走る路面電車やケーブルカーが、旅情と郷愁を誘う街です。中世のたたずまいを今も残し、アズレージョという装飾タイルで飾られた絵のように美しい家並みが昔ながらの魅力を保ち続けています。特に28番の路面電車は旧市街を抜けて走るので、最もリスボンらしい風景を楽しむことができます。
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ケーブルカー ビッカ線 |
ビッカ線は石畳の急勾配な坂道をのぼり、バイロ・アルト(高い)地区へ向かいます。住宅がぎっしりと建つ狭い坂道を、かわいらしい1両のケーブルカーが壁をこすらんばかりにゴトゴトと走っていく…映画やCMでもよく登場する風景です。バイロ・アルトにはポルトガルの演歌ともいわれる「ファド」が聴けるクラブや酒場が多く、夜のとばりが降りる頃には路地裏から哀愁漂うメロディーが流れ、郷愁を誘います。
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アルファ・ペンドゥラール |
リスボンを起点に、北はコインブラ、ポルトなど、南はファーロなどポルトガルの主要都市を結んでいる高速列車。ポルトまでは全席指定で約3時間の旅。1等席では別料金ですが食事のサービスもあります。まずはテージョ川に沿って北上し、内陸ののどかな田園風景を駆け抜けてコインブラへ向かいます。
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コインブラは、1290年にコインブラ大学が設立されたことにより、ポルトガルの文化的中心地として発展しました。この大学はヨーロッパで最も古い大学の1つであり、かつては王宮として使われていた旧校舎や図書館など、大学そのものが観光地となっています。とりわけ18世紀始めに建設された図書館は世界で最も美しいと称され、金箔を施した壮麗な本棚や英知の女神を描いた天井画も有名。街には本を抱えた黒いマントの学生の姿も目立ち、学生向けの安くておいしいレストランもたくさんあります。
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インテルシダーデ |
コインブラB駅からは、アルファ・ペンドゥラールより少し安い急行列車インテルシダーデに乗車。運河の町アルベイロ、大西洋の大海原を眺めているうちにドウロ川を越えて、ポルトへ到着します。
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リスボンに次ぐ第2の都市であり、ポルトガル発祥の地。ドウロ川南岸にあるローマ時代からの港町「ポルタス・カーレ」が国名の起源です。11世紀にイスラム教徒からこの地を奪回したフランス貴族がブドウを栽培していたことから、後にポルトワインの産地となりました。大航海時代にエンリケ航海王子がモロッコのセウタを攻略した際の出発港としても知られ、以後ポルトガルは海外へと大きく飛躍。同時にポルトはワイン貿易を主とした商業の中心地として栄えました。
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ポルト・カンパニャン駅 |
リスボン方面からアルファ・ペンドゥラールやインテルシダーデが到着するのは、ポルト・カンパニャン駅。駅構内ではやはり、美しいアズレージョを見ることができます。この駅はポルトの中心街からは少し東に離れているので、近郊線に乗り換えて旧市街にあるポルト・サン・ベント駅へ向かいます。
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ポルト歴史地区 |
クレリゴス教会、ボルサ宮、サン・フランシスコ聖堂などの市街地を総じたポルト歴史地区は、1996年に世界文化遺産に登録されています。宮殿のような外観のボルサ宮は、この国初の巨大鉄筋建造物。近年まで証券取引所として使われていました。サン・フランシスコ聖堂は、黄金に輝く木彫りの装飾で埋め尽くされた絢爛たる建物。17〜18世紀に植民地ブラジルから約600kgもの純金を持ち込んで造られました。豪華さを競うような装飾が好まれたのは、ポルトガルの威信を諸外国に誇示するためだったのかもしれません。
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アルマス礼拝堂 |
ポルトガルでは、「アズレージョ」と呼ばれる装飾タイルを至るところで見かけます。教会、宮殿はもちろん、地下鉄構内から一般の住宅にまでも広く使われている建材であり、ポルトガル文化を映す芸術品です。その歴史は15世紀に始まり、時代ごとに描かれる模様や絵画に流行がありました。アルマス礼拝堂のアズレージョは、ポルト生まれの20世紀の巨匠エドゥアルド・レイテによるものです。
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ドウロ川クルーズ |
ポルトの街だけでなく、雄大な自然に触れてみたい観光客に人気のドウロ川クルーズ。上流の丘陵地帯は、雄大な景観の中にポルトワインの原料となるブドウの畑が広がっています。岸辺のワイナリーを訪れたり、船上で楽しむワインの味はまた格別。途中、ダムや水門などのダイナミックな景観を楽しみつつ川を下ってくると、ドン・ルイス1世橋がゴール地点。このあたりから街を見渡すと、ポルトが丘のカーブに沿って出来上がっている街であることがよくわかります。
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ポルト・サン・ベント駅 |
サン・ベント駅は20世紀初頭に建設され、当時はポルトの玄関口でした。今はその地位をカンパニャン駅に譲り、近郊列車の発着駅となっています。趣きのあるドーム状の高い天井、広い壁面にはさながら美術館のようにアズレージョが飾られ、その絵柄からジョアン1世のポルト入城やエンリケ航海王子のセウタ攻略など、ポルトガルの歴史を学ぶことができます。ここからドウロ線に乗り、列車は19世紀にワイン運搬のため敷かれた線路をレグアへ向かいます。
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レグアから車で約30分、ドウロ渓谷の南に位置するラメーゴは、ブドウ畑に囲まれた小さな町です。中世から時が止まったままのような田舎町ですが、かつてポルトガル初代の王アフォンソ・エンリケスが初の国会を開いた町として有名。名物の発泡性ワインと生ハムは食べる価値アリです。
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ノッサ・セニョーラ・ドス・レメディオス教会 |
ポルトガル三大巡礼地のひとつになっている、ラメーゴのシンボル。町の中心を貫く大通りから続く、堂々たるバロック様式の階段を上って訪ねます。600段とも700段ともいわれる長い階段の途中には、やはり美しいアズレージョの装飾が。ようやくたどり着いた小高い丘の上に建っているのは、1771年に完成した双塔の教会。御影石でできた荘厳な姿が印象的です。
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アルト・ドウロ・ワイン生産地域 |
ドウロ川の上流に位置するこの地域一帯は、アルト・ドウロ・ワイン生産地域として2000年に世界文化遺産に登録されています。川沿いに広がるブドウの段々畑は、総面積25万ヘクタール。3〜4世紀には既にワイン作りが始まっていたといわれ、今では世界中においしいポートワイン(ポルトワイン)が輸出されています。
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レグアから再びドウロ線に乗車、列車はドウロ渓谷をひた走ります。車窓には果てしなく続くブドウの段々畑、所々にワイン醸造所、オリーブ畑。緑豊かな景色は上流へ行くにつれて険しい岩山に変わり、やがて列車は終着駅ポシーニョに到着。小さな町の小さな駅舎には、かつてブドウの重さを量った古い手動のハカリが飾ってありました。
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