サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコック。彼には最後に撮りたい映画があった。脚本、絵コンテなどの世界初公開資料と、当時のスタッフの証言から幻の映画に迫る。
20世紀を代表する映画監督のひとり、アルフレッド・ヒッチコック。彼は生涯で53本の映画を監督したが、実は54本目の製作にも着手していた。脚本は完成、キャストの選考も進められ、資金もスタジオも準備万端。だが、作品は撮影されなかった。2人のスタッフの証言と、番組で世界初公開する資料から幻の映画に迫る。その作品『ショートナイト』の原作は、作家ロナルド・カークブライドの同名小説。ソ連のスパイがイギリスの刑務所から脱獄した実話をもとにしたスパイスリラーだ。ヒッチコックは派手なスパイアクションが注目を集めるようになった1960年代後半、ヒットが出ずスランプに陥る。そんな時出会ったのが「ショートナイト」だった。プロデューサーのトム・マウントは、ヒッチコックは人生の集大成のような映画を撮りたかったのだと語る。脚本制作に着手したヒッチコックは、当初旧知の脚本家アーネスト・レーマンに依頼。だが、出来栄えに満足せず若手のデヴィッド・フリーマンに託す。2人は1978年12月から6カ月間にわたり脚本を作り上げていった。1980年に逝去するまでヒッチコックの近くにいたフリーマンが、脚本作りに没頭した日々やヒッチコックの最晩年を証言する。
番組は、アメリカの映画芸術科学アカデミーの図書館に遺族から寄贈された『ショートナイト』の絵コンテや手書きのキャスティング案、脚本などを公開する。(2018年)
出演
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デヴィッド・フリーマン
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トム・マウント