日本各地の祝祭を巡り、神々や妖怪を撮影するフランス人写真家の旅。人類が原初から有する“普遍的な美”を追い求めた写真家は、いつしか異文化の深淵へと迷い込んでいく。
フランス人写真家、シャルル・フレジェ。日本の祝祭に現われる神々や妖怪に扮した人々を先鋭的に写し撮った写真集「YOKAINOSHIMA」が大きな話題を呼んだ。そこに描かれるのは、日本人も知らない日本の姿。現代社会から忘れ去られた原初からの営みに、“普遍的な美”を見いだそうと始まったシャルルの旅を、番組では全国およそ50カ所、1年以上にわたって記録した。きっかけは2013年。ヨーロッパ各地の獣人や魔物の装束を撮影した写真集「WILDER MANN」で世界的な評価を確立していたシャルルは、ある日ナマハゲの存在を知る。ヨーロッパの祝祭と多くの共通点を見いだした彼は、洋の東西を問わないプリミティブな美を求め日本へ降り立つ。
しかし日本で待ち構えていたのは異文化の壁だった。保守的な伝統の担い手たちは、伝統を独自の世界観に当てはめようとする異国のアーティストと衝突を繰り返す。それでも全国を旅する中で、やがて消滅するかもしれぬ地域の伝統を、アートとして記録することを受け入れる人々も現われた。そしてシャルル自身も、次第に日本の仮装文化の多様性と独自性に魅了されるようになる。
1年以上をかけて駆け巡った日本列島の旅。シャルルがその旅の終わりにたどり着いた答えとは…。21世紀のグローバル社会に生きるわれわれが、なぜ自然を畏れ、伝統を守り続けるのかを、フランス人写真家の旅を通して見つめる。
出演
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シャルル・フレジェ